第9回 ビットレートって何を表してるの? [What’s HD?]
こんにちは。ハイデフおやじ1号です。
先日、我が家で愛用しているHDDレコーダーのHDD空き容量がついに「0」になってしまいました。主に子供のアニメを録画していたのですが、使い始めた当初から録画した番組を消さずに追加し続けてきたのが原因です。
子供の反対の声をあびながら、録りためた番組をせっせと削除。ついでに録画の画質設定を標準の4Mbpsから低画質の2Mbpsに変更して、今後の番組増加にも対応できるようにしました。
しかし、子供の感覚って恐ろしいほど鋭いですね。違いなんてわからないだろうと思って変更した画質ですが、子供はしっかり見抜いていて「画質が悪いからイヤ」という非難を浴びてしまいました。そろそろ大容量のHDDを搭載した機種に買い換えなければならないかもしれません。
というわけで、今回のテーマは「ビットレート」です。
ビットレートは、音楽や映像などのコンテンツでよく見かける表記ですので、誰にでもそれなりになじみのあるものではないでしょうか。音楽や映像の品質を表していて、高いほど品質が良いというのも何となく理解していることでしょう。
では、どうしてビットレートが高いと画質が良くて、低いと悪くなるのでしょうか?
その答えは情報量にあります。ビットレートは「bps」という単位で表されますが、これは「bits per second」の略で、要するに1秒間に扱う情報量を意味しています。たとえば、4Mbpsのビットレートの場合、その映像には1秒間に4Mbitの情報が含まれていることになります。2Mbpsの映像と比較すると、約2倍の情報量ということになります。
なお、bpsの「b」はbyteではなく、bitとなります。パソコンの世界では、しばしばbyteとbitの単位が混在するケースがありますが、bitはbyteより小さい単位で1byte=8bitとなっています。
さて、「ビットレートが高い=1秒間の情報量が多い」という関係は理解できたことでしょう。では、どうして情報量が多いと音楽や映像の品質が高くできるのでしょうか?
これはパソコンに限らず、デジタルデータの音楽や映像は一般的に圧縮されているからです。音楽や映像などのデータをデジタル化する際、もとの音楽や映像の情報をそのまますべて含めると膨大なサイズのデータになってしまいます。
このため、一般的にはデータを圧縮して小さくします。圧縮というとZIPやLZHなどのファイルの圧縮を思うかべるかもしれませんが、これとは少ししくみが異なります。これらが可逆圧縮と呼ばれ、圧縮後もオリジナルのデータと同じデータに戻せるのに対して、音楽や映像の圧縮は一般的に非可逆圧縮となります(WMAの場合、Lossless方式の可逆圧縮も可能)。
たとえば、音楽には低い音から高い音まで幅広い周波数の音が使われていますが、実際に人間の耳で聞き取れる音の周波数は限られています。このため、聞き取れない範囲の周波数の音を削って情報量を少なくします。また、映像の場合、人間が判別できない色を省いたり、家具など動きのない部分のデータを映像の中間フレームから削除するなどして、その情報量を少なくします。
情報を省いてしまうのですから、元のデータに戻すことはできませんが(非可逆)、これによって音楽や映像の情報量を減らすことができるわけです。情報量が減ればファイルサイズが小さくなりますから、インターネットを介して配信したり、携帯音楽プレーヤーなどに保存しやすくなるというわけです。
というわけで、ビットレートが高いということは、オリジナルの音楽や映像からあまり情報を省かれていないことになります。これによって高い画質が実現されているというわけです。ビットレートには、このほか固定ビットレートと可変ビットレートという2つの種類もあります。次回は、この違いについて解説しましょう。
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